JNEC:ネイリスト技能検定試験

JNEC

JNEC(通称:ジェネック)とは、公益財団法人「日本ネイリスト検定試験センター」が実施するネイリストの検定試験です。国家資格ではありませんが、72万人以上の受験生を有する、ネイリストには欠かせない試験と言えるでしょう。
ここでは、JNECに関して、求められる技術や知識、検定内容について説明していきます。

JNECには、1~3級があります。飛び級ができませんので、必ず基礎となる3級から受けなければなりません。3級はネイルの基礎、2級はチップ&ラップ※、1級は3Dアートが試験項目に入ってきます。

JNEC 3級について
JNEC 2級について
JNEC 1級について

ちなみにネイリストの資格には、JNAというものもあります。JNAとJNECの違いや取得に関する優先順位について知りたい方はこちらへどうぞ。
JNECとJNA(ジェルネイル技能検定試験)の違い
JNAってどんな資格?

JNEC 3級:合格率90%

3級はネイル業界への入り口となる資格です。ネイルに関する基礎的な内容が中心で、難易度は一番低く、JNEC資格の中で独学で取得できる唯一の資格といってもいいかもしれません。
ただ、JNEC2級以上では3級の試験内容をもれなく学べていることが前提なので、将来的に3級以上も目指していきたいなら、基礎からしっかり学べるスクールに通った方が得策でしょう。

  • 試験の前にモデルを確保

通信制のデメリットJNEC試験では1~3級全ての試験でモデルが必要です。試験当日に来てもらえるモデルを探しましょう。
モデルには、当日ネイルをしていない地爪で来てもらったり、長時間にわたって私語を謹んでもらうこともお願いしなければなりません。関係のない友達にお願いするには、少々気を使いますよね。

その点スクールに通っていれば、ネイル関係の友達が増えるので、モデルをしてもらったり、してあげたりという協力が容易になるという利点がありますね。
ちなみにモデルは女性が大半ですが、男性モデルでも大丈夫です。男性だから試験に不利などということもありません。

JNEC 3級 の試験内容

試験時期:年4回(2018年は1月・4月・7月・10月実施)

受験料 :6,600円(税込)

試験会場:全国36都道府県

所要時間:午前の部9:30~12:40 もしくは 午後の部13:00~16:10

※モデルは実技試験終了後、先に退出します。
→試験時間などの詳細は、公式HPをご確認ください。

事前審査(10分)
テーブルセッティング、消毒管理、モデルの爪を確認します。

JNEC3級ネイルアート見本

実技試験(70分)
1.ネイルケア(両手指10本)
2.カラーリング(両手指10本)
3.ネイルアート(右手中指)モチーフは花
終了後、試験監督がその場で実技試験内容の採点をします。

★実技試験の合格ラインは50点満点中、35点以上

筆記試験(30分)
マークシート式で、爪の構造や病気、衛生面などの問題が出題されます。

★筆記試験の合格ラインは100点満点中、80点以上

3級の合格率は90%で一見簡単そうにも思いますが、覚えることはたくさんあります。

ネイルアートは好きでも、爪の病気なんて勉強しなければわかりませんよね。また、趣味でネイルアートをやっているときに、所要時間を気にしてアートをしている人はあまりいないでしょう。
つまり、努力せずに取れるようなものではありません。3級の内容は、暗記に加えてスピードが重要です。いかに早く正確に出来るようになるかがポイントですね。

JNEC 2級:合格率40%

2級は、3級でネイルの基礎を理解した合格者だけが受けられる試験です。リペア、チップ&ラップ※などの技術を中心にワンランク上の技術をチェックされます。
独学や通信では、かなり取得が困難であるといわれています。合格率も3級が9割を超えるのに対して2級は4割と、大幅に下がります。

それだけに、難易度の高い2級に受かった人材は、サロンで働くときに即戦力として扱われやすく、待遇も良くなりやすいです。ネイリストとして働くなら、必ずとっておきたい資格です。

JNEC 2級の試験内容

試験時期:年4回(2018年は1月・4月・7月・10月実施)

受験料 :8,800円(税込)

試験会場:札幌/盛岡/仙台/東京/名古屋/新潟/金沢/大阪/広島/高松/福岡/沖縄

所要時間:午前の部9:10~13:50 もしくは 午後の部13:25~17:20
→試験時間などの詳細は、公式HPをご確認ください。

事前審査(10分)
テーブルセッティング、消毒管理、モデルの爪を確認します。

実技試験前半(35分)
両手指10本のネイルケア

2級ネイルアート

実技試験後半(55分)
1.チップ&ラップ※(右手中指)
2.カラーリング(両中指以外の8本)
3.ネイルアート(右手中指)モチーフは富士山
終了後、試験監督がその場で実技試験内容の採点をします。

★実技試験の合格ラインは50点満点中、38点以上

筆記試験(30分)
マークシート式で、ネイルの歴史、プロフェッショナリズムなどの問題が出題されます。

★筆記試験の合格ラインは100点満点中、80点以上

※チップ&ラップとは…

チップ&ラップ

ネイルチップを爪に装着し、爪を長くして形を整える技術です。地爪とつけ爪の境目に段差がでないようにカバーするときに使用するものがラップ材なので、まとめてチップ&ラップといいます。

JNEC 1級:合格率36%

JNEC2級に合格できたら、ついに1級に挑戦する権利を得られます。1級はトップネイリストを目指すなら必ずとっておきたい資格です。

難易度が高く、受験者の合格率は36%、JNECの全有資格者の10%しか1級にたどり着けていません。残念ながら独学で取得するのはまずムリなので、通学で取得することをおすすめします。
難しくて保有者が少ないこの資格があると、どこのサロンからも引く手あまたです。給与面でも好条件で働けるサロンに就職できるチャンスが多いでしょう。

独立開業をする上では必須の資格ともいえます。利用者の立場になって考えてみると、ネイルをしてもらうなら最上級の資格をもったサロンで施術を受けたいですよね。サロンの責任者さえ1級の資格保有者でないなんて、お客様が知ったら不安になってしまいます。
プロのネイリストとしてキャリアの選択肢を増やすという意味でも、最終目標は1級を目指しましょう。

JNEC 1級の試験内容

試験時期:年2回(2018年は4月・10月実施)

受験料 :11,000円(税込)

試験会場:札幌/盛岡/仙台/東京/名古屋/新潟/金沢/大阪/広島/高松/福岡/沖縄

所要時間:11:30~16:50(2017年春の場合)
→試験時間などの詳細は、公式HPをご確認ください。

事前審査(10分)
テーブルセッティング、消毒管理、モデルの爪を確認します。

2級ネイルアート

実技試験(150分)
1.スカルプチュアネイル※1(右手5本)
2.チップ&オーバーレイ※2(左手中指、左手人差し指)
3.ミックスメディアアート(左手薬指)モチーフは桜の3Dアート

★実技試験の合格ラインは50点満点中、38点以上

筆記試験(40分)
マークシート式で、化粧品学、その他実践的施術全般についての問題が出題されます。

★筆記試験の合格ラインは100点満点中、80点以上

※1 スカルプチュアネイルとは…

爪の長さを出したり弱った爪を補強する技術です。ネイルチップとは違い、アクリル溶剤を使って、爪を一つ一つ造形していくので、プラスチックで事前に作られたチップよりも地爪に近く、自然な形を作ることができます。

※2 チップ&オーバーレイとは…

爪先だけのハーフチップを使って、爪に長さを出す技術です。主に地爪が深爪な人でスカルプチャが出来ない人に使われていますが、普通の爪の状態でも、これで爪に長さを出すことが出来ます。最後にアクリルのミクスチュアで全体を薄く覆って完成です。

JNECとJNA(ジェルネイル技能検定試験)の違い

JNEC(ネイリスト技能検定試験)
主催:公益財団法人 日本ネイリスト検定試験センター

JNA(ジェルネイル技能検定試験)
主催:NPO法人 日本ネイリスト協会

JNEC1級~3級と、JNA上級~初級の試験で取得できる技術は、内容が全く異なります。

JNECではネイリストとして基礎となる内容が多く含まれているのに対して、JNAで主となるのはジェルネイルに関する知識です。さらに、JNECではジェルネイルについてはほとんど触れられません。
現在、ネイルサロンで施術されるのは圧倒的にジェルネイルが多いです。つまりJNECとJNAの両方が技術として必要なんです。どちらかだけを取っておけばOKということでありません。

受験する順番としては JNEC 3級 → JNA 3級 の順で取得するのがおすすめです。なぜなら、JNECを合格している人は、JNAの一部の試験を免除されるという制度があるからです。

JNEC合格者のJNA試験免除制度について

JNECの試験を合格した人は、以下のJNA試験が免除になります。

JNEC 3級 合格…JNA 初級の実技試験 第1課題(ネイルケア)免除
JNEC 2級 合格…JNA 中級の実技試験 第1課題(ネイルケア)免除

JNA試験の一部免除を希望する人は、JNAの試験申し込み時にJNECの合格認定番号を記載することで免除してもらえます。免除をしても受験料の割引はありません。
JNEC・JNAを交互に受験していくと、効率よく試験をクリアしていけますよ。
JNA(ジェルネイル技能検定試験)の試験内容は?

JNECの前身JNEって何?

JNEとは、JNECが2012年に公益財団法人としての認定を受ける前のネイル検定です。どこかでこの名称を目にして気になったかたがいるかもしれませんね。
この資格は発行元が同じで名称も似ているので、JNECと混同されがちですが、試験の内容が異なります。そのため、旧試験のJNEしかもっていない人は、JNECの受験が必要になります。

今から公益財団法人「日本ネイリスト検定試験センター」の実施している試験を受験する人は、全て最新のJNEC検定ですので、特に気にしなくて大丈夫ですよ。